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「愛知大学 日本酒講座 極上コース」に参加してきました。

11月10日(土)は、「愛知大学 日本酒講座 極上コース」が開催されたので、参加してきました。
今回のテーマは、「日本酒の地域特性と食文化」であり、九州地方の日本酒と食文化の勉強をしました。
講義にあたり、丸尾先生が力を込めて、「今回は凄いよ!」・・・と!

それは、用意された料理です。
実は、「熊本藩御前料理」を再現したというものでした。

熊本藩御前料理」とは、江戸時代の熊本藩細川家の料理です。
代々細川家の御料理頭を務めていた村中乙右衛門が記した料理秘伝書「料理方秘(りょうりかたひ)」と、熊本藩士の高原枯草と本間素当が編集した「歳時記」の2つの古文書を元に再現したそうです。また、煎酒(いりざけ)という現代では、ほとんど使われない調味料を配合してつくるなど、当時の味をなるべく忠実に再現したものです。

その写真は、次のとおりです。
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また、用意された料理の解説は、以下のとおりです。なお、カッコ内は元の料理名です。

○鱸煎酒昆布締め(地魚の膾(昆布〆め)煎酒添え)
 煎酒とは室町期の末期からある調味料で、酒と削り鰹、梅干、たまり少量を煮詰め、凝して作る。醤油の普及以前、刺身、なます、煮物などの調味料として広く用いられた。

○和蛸味噌煮(和蛸)
 和蛸は、先に味噌を焼き、そのあと、地ダコと水を入れ強火で煮る一手間かけた料理。

○あんぺい黄身焼き(蒲鉾)
 「かまぼこ」や「はんぺん」など、魚介類のすり身を使う料理は、当時、高品質の材料と手間を要する高級なおもてなし料理。

○鶏もふりょうふ風煮こごり(かしわのもふりょうふ)
 「かしわ」とは鶏、「もふりょうふ」とは鶏またはあひるの水炊きを意味し、中国から長崎経由で伝来したとされ、現在の博多名物「水炊き」の原型といわれる説もある。今回は、煮こごり風にアレンジしました。

○銀杏てんぷら(ぎんなんてんぷら)
 銀杏をすりつぶし、葛でつないで落とし揚げ。ちなみに「てんぷら」の語源については、ポルトガル語の「テンペロ」、オランダ語の「テンポラ」等諸説ある。

○玉子カステラ海老挟み(たまごかすてら焼)
 江戸期の料理書では、ふっくらと焼いた厚焼き卵が「かすてらたまご」とよばれた。

黄檗とうふ風燻製(黄檗とふふ/豆腐味噌漬)
 黄檗とふふは、酒煮した豆腐を醤油で味付けし、焼いて焼豆腐に仕立てたもの。豆腐味噌漬けは、豆腐を味噌漬けにしたもの。今回は、このふたつの料理を融合させ、豆腐を味噌漬けにしたあと、軽くスモークしてある。

○炙り鯖巻き寿司(巻すし)
 巻すしとは、魚ですし飯を巻く巻ずしのこと。当時は作ってから一日くらいで食べるすしでしたので、「一夜ずし」等とも呼ばれた。

辛子蓮根辛子蓮根
 熊本藩主細川忠利は、生来病弱だったが、ある時前任地である豊前国耶馬渓羅漢寺の禅僧・玄宅が忠利を見舞った時に蓮根を食べるように勧めた。そこで藩の賄方であった平五郎が、加藤清正が熊本城の外掘り非常食として栽培していた蓮根の穴に和辛子粉を混ぜた麦味噌を詰め、麦粉・空豆粉・卵の黄身の衣をつけて菜種油で揚げたものを忠利に献上したという伝承がある。蓮根は増血剤として優れている上に辛子には食欲増進作用があること、また蓮根を輪切りにした断面が細川家の家紋(九曜紋)と似ていたことから門外不出の料理とされていたが、明治維新からは一般にも製法が伝わり、熊本名物の一つになった。

大徳寺納豆(妙解寺納豆)
 藩主細川家の菩提寺・妙解寺の寺納豆(塩辛納豆)。寛永18(1641)年に細川家3代忠利公が亡くなり、その墓所を現在の熊本市の花岡山ふもとに設け、墓地を守護するために寺が建立された。寛永20年、沢庵と同門の啓室宗栄が下向、住職となり、忠利の戒名「妙解院殿」に基づいて寺号を「護国山妙解寺」と名付けた。以降、明治4年に廃寺となるまで、歴代藩主の菩提寺とされていたそうだ。妙解寺を開いた住職は、沢庵和尚(1553~1645)と同門だった。沢庵は江戸時代初期の臨済宗の僧だが、あの大徳寺にも歴住していた。つまり大徳寺納豆(=浜納豆、寺納豆)の流れが妙解寺にも伝わり、「妙解寺納豆」に結実したとも考えられる。

○河豚がめ煮(田夫)
 田夫は、ゴボウ、昆布、黒豆などを細かく切って煎酒で汁気がなくなるまで煮たもの。がめ煮は、九州北部地方の代表的な郷土料理。博多の方言「がめくり込む」が名前の由来と言われる。また、文禄の役の時に、朝鮮に出兵した兵士が当時「どぶがめ」と呼ばれていたスッポンとあり合わせの材料を煮込んで食べたのが始まりと言われている。亀煮から「がめ煮」と名付けられたとも言われている。現在は、スッポンではなく鶏肉を使うのが普通。

○粟麩田楽(そそろ麩/揚麩)
 そそろ麩とは、熊本藩主細川慶順初入国を祝う御祝御能の膳にも使われたという麩料理。揚麩は、生麩を揚げたもので、当時の料理書に多く見られる代表的な料理。
 肥後田楽:水がきれいで良質の大豆を産する熊本でできる豆腐は美味しく、これを使った田楽は肥後田楽の名で親しまれている。にがりを使用した木綿豆腐を短冊に切ってしばらく水を切って串に刺す。これに地元の麦味噌をみりんよりコクが出る赤酒でのばし、山椒や柚子を塗って火にあぶる。

その素敵な料理に合わせた日本酒は、8種類。
各県から1本ずつ用意されました。

○福岡県
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純米大吟醸「八峰」

佐賀県
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「東一」

長崎県
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純米吟醸「福鶴」

熊本県
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吟醸「熊本神力」

大分県
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純米吟醸「鷹来屋五代目」

○宮崎県
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純米大吟醸「夢の中まで」

沖縄県
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純米酒「沖之一石」

熊本県 「東肥赤酒
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ラベルには、このように記載されています。
赤酒は日本古来の灰持酒の伝統を受け継ぐ、熊本特産の芳醇甘美なお酒です。
時が経つにつれて赤色を帯びる赤酒は、江戸時代には肥後細川藩の「お国酒」として愛飲され、今日で熊本地方ではお屠蘇酒や儀式用の酒として広く親しまれています。
また、料理酒として用いますと、赤酒の微アルカリ性の性質が、素材の身をしめずお料理をふっくらと柔らかく仕上げ、豊富な旨味と上品な甘味が、味に深みを与え、お料理をテリ・ツヤよく美味しく仕上げます。

まさに日本酒の奥深さを感じる1本です。


さて、8種類のお酒と再現「熊本藩御前料理」のシチュエーションは、こんな感じです。
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誠に興味深い1時間30分でした。
丸尾先生、いつも、新しい企画、誠にありがとうございます。
次回も、楽しみにしています。